「何処だか分からない所に突然飛び出すのも危ないよね。」

あたしは何か時代や場所を示すヒントになる物はないかと周りに転がっている物を窓から差し込む僅かな光で照らしてみた。

「うわぁ〜綺麗!」

何て言いながらツボや装飾品を手にとって見たり、ちょっとぼろぼろになった本を見てみたりしたけど決定的なものは何も無かった。
ただ本に書かれている文字が、悟浄や八戒がよく書いたり読んだりしているものと同じだという事だけわかった。

「・・・って事はここは中国って事かな?」

でもそれもただの推察でしかない。
他の国の本を手に入れるなんて容易い事だ。
誰かが買っているのであれば何のヒントにもならない。

「もうどうすればいいの・・・」

すっかりへこんでしまい、側にあった古びた椅子に力なく腰掛ける。
突然何処からか足音が近づいてきたと思うと、部屋の扉が勢いよく開き眩しい光が視界を覆った。

「眩しい!」

「・・・おねぇちゃん・・・ダレだ?」

「え?」

小さな鈴の音と女の子の声。
カチリと言う音を立てて部屋の明かりがついた。
突然の眩しい光に驚き、光を手で遮りながら、ここ電気あったんだぁと思いつつ女の子の姿を見た。
するとその子はあたしもよく知っている・・・。
小さな体に頬にあるアザ、長い髪は後ろでひとつにまとめられている。
ネコのように髪につけた鈴がチリンと言う涼やかな音を静かな部屋に響かせる。

まさか   もしや

「り・・・李厘ちゃん?」

「んーーーーー?」

怖々と名前を呼ぶと李厘は怪しむような表情でゆっくりとこっちに近づいてきた。
突然の事にあたしは全く身動きが取れなかった。
あたしの目の前までやってくると、穴が開くんじゃないかってくらいじぃーっと見つめられた。
その時何故か八戒の笑顔が頭に浮かび、とりあえず引き攣りながらも笑顔を作った。
すると眉を寄せていた李厘もそれにつられるかのように、にっこり笑ってくれた。

「なぁなぁ、オイラと遊んでv」

「は?」

あたしの両手をがしっと掴むと李厘は勢いよく上下に振り、悟空のように大きな瞳をキラキラ輝かせながらあたしの目を見つめる。



今あたしがいるのは桃源郷と言うのは間違いないだろう。(李厘がいるし)
ただここは何処なんだ!?
李厘はよく吠登城を抜け出してるから、ここが吠登城と言い切ることは出来ない。

「遊ぼうよぉ〜」

(・・・か、可愛い。)

何とか思考を働かそうとするが、目の前にいる李厘は見えない尻尾を振って遊び相手を捕まえようと必死である。





さて、貴女はどうしますか?

★  とりあえず李厘と遊ぶ
☆  今の状況を整理する為、とりあえず話をする